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2017年9月26日火曜日

ブラジルの小さなカエルの驚くべき秘密

ブラジルの進化生物学者で爬虫両生類学者でもあるサンドラ・グット博士は「パンプキン・トードレット(pumpkin toadlet)」(Brachycéphales ephippium)の研究をしています.

このカエル(写真)は親指の爪ほどの大きさで,目がさめるようなオレンジ色.
捕食者や爬虫両生類学者に出会って怯えると,両手を振り回すという可愛らしさ.

ところでこのカエルも他のカエルと同様,メスを引き付けるために恋の歌を歌うのです.その歌は少しコオロギの鳴き声に似ています.

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パンプキン・トードレット Photo: Ariovaldo Giaretta

ところで,博士はこのカエルは耳が聞こえないらしいと気づきます.

そこで,カエルの歌を録音したものを聞かせて反応を調べたり,耳から脳まで,電気インパルスを辿ったり,さらには内耳を解剖したりと色々調べたところ,彼らには自らの声を聞くのに必要な器官が欠けていることがわかったのです.

ですから,オスの歌う歌はメスの耳には届かない.....

では,なぜ歌うのか?

博士の考えでは,

歌を歌う時に膨らむ喉こそが性的な信号であって,付随する音はおまけ,

あるいは,

進化の途中で,ディスプレー(外見)が十分役割を果たしてくれるので,歌を聴く能力を失ってしまった.

というのもこれは,派手な色をしている上に,手を振る動作などをする,とてもビジュアルなカエルだから.

ところで,研究者の中には「歌ってるってことは聞こえるってこと.いや,聞こえているはず.なぜテストなんかするの?」という人がいて,博士はその人達を説得し実験を行うのに苦労したとのこと.

今サイエンスではわかりきっていることをテストしようとはしない,と彼女は言います.

だから,今のところ,耳の聞こえないカエルは世界中でただこの種類だけだけれど,単に私たちが知らないだけで,他にもそういうカエルがいるのかもしれません.

当たり前だとみんなが思っていることを疑ってみる.
ちょっと哲学的ですね.

彼女の肩書きにはRがついているのかもしれません.

Evolutionary biologist(進化生物学者
Revolutionary biologist(革命的な生物学者)






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