2021年9月14日火曜日

地球磁場を利用して渡りをする鳥の秘密に迫る!2021年8月4日付け60-second scienceより


ヨーロッパコマドリ
ヨーロッパコマドリ

長い距離を移動する渡り鳥の体内には磁気コンパスがあるのではないかという考えは以前より存在し、最近では、網膜に存在する青色光受容体「クリプトクロム(cryptochrome)」を通じて鳥が地球の磁場を感知しているのではないか、とする研究も発表されています。

このほどnatureに発表された研究によれば、渡をする鳥(ヨーロッパコマドリ)のゲノムからバクテリアを使って作り出したクリプトクロムに青色の光と同時に磁場を当てると、その強度によって2種類の競合する化学反応が生じることがわかりました。そこから先はまだ完全に明らかになっていませんが、化学反応の結果生じる形状の異なるタンパク質が細胞内で他のタンパク質と相互作用することで、鳥は磁場を「感知」するのではないか、とのことです。

その他、渡りをしない鶏などと比べると渡りをするヨーロッパコマドリのクリプトクロムはより磁場に対する感度が高かったこともわかったのでした。


さてここでクイズです。

1)オルデンバーグ大学のモリッツェン博士は渡り鳥は役立つものならなんでも利用する、と語っていますが、次の中で博士が言及していないものはどれ?

a) 星(star)    b) 太陽    (sun)     c) 匂い    (smell) d) 目印 (landmark) e) 風(wind)

2)最後にインタリアータさんは、今回の実験は鳥の体外(つまり試験管内)で行われたものだが、将来は実際に鳥の体内で行えることを、そして本当の・・・を手に入れることを科学者たちは希望している、と語っています。言葉遊びになっているこの・・・に入る言葉は何?

答えはこのページの下に。


最後にSongbird(鳴禽類)と言われるEuropean robinの鳴き声をどうぞ。

ヨーロッパコマドリの鳴き声














解答

1)e) 風(wind)
2)bird's eye view(鳥瞰図、全景)

2021年9月8日水曜日

天敵不在のオオヒキガエルのオタマジャクシは大きいものが小さい仲間を食べる!ー2021年9月1日付けSmartNewsより


Cane toad tadpoles(オオヒキガエル) (Froggydarb via Wikicommons under CC BY 3.0)

オオヒキガエル(cane toads)は1935年、害虫退治の目的でオーストラリアに持ち込まれました。イボに覆われ、まゆげのような突起のある、この両生類の皮膚には毒があり、口に入る大きさであれば、ネズミから鳥までなんでも食べてしまい、天敵がいません。やがて、侵入生物種である彼ら自身が有害生物になってしまいました。

さて、他の動物に捕食されることのないオオヒキガエルは、個体数を低く維持するために、おたまじゃくしが共食いをします。小さなおたまじゃくしは、なんとか食べられないための対抗手段を考えました。つまり、大きい仲間の餌食にならないように、小さくひ弱である期間を短くしようと、なるべく早く成長するのです。この研究結果は、Proceedings of the National Academy of Sciencesに発表されました。

故郷である南アメリカに住むオオヒキガエルでもオタマジャクシの共食いはすでに観察されていましたが、オーストラリアに住むオオヒキガエルの方がより頻繁に行われることがわかりました。

そして、食べられてしまう危険により晒されているオーストラリアのオタマジャクシの成長速度は南アメリカのオオヒキガエルと比べるとずっと速かったのです。

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