2020年8月8日土曜日

ベイルートの事故の原因、硝酸アンモニウム(NH₄NO₃) って何?

2020年8月4日(現地時間)ベイルートで起こった大爆発の原因は保管されていた大量の硝酸アンモニウムでした。
アメリカの科学雑誌サイエンティフィク・アメリカン(Scientific American)のオンライン記事では硝酸アンモニウムについて下記のように記載されています。
Ammonium nitrate has the chemical formula NH₄NO₃. Produced as small porous pellets, or “prills”, it’s one of the world’s most widely used fertilisers.
It is also the main component in many types of mining explosives, where it’s mixed with fuel oil and detonated by an explosive charge.
用語集
ammonium nitrate 硝酸アンモニウム/chemical formula 化学式/porous 多孔性の /pellet ペレット/prill 顆粒(小球)/fertiliser 肥料/component 成分 /mining 採鉱 /explosive 爆薬/fuel oil 燃料油/detonate 爆発させる/explosive charge 装薬







訳文:

硝酸アンモニウムの化学式はNH₄NO₃である。小さな多孔性のペレット(顆粒)として製造される、全世界で最も広く使用されている肥料の一つである。これはまた採鉱で用いられる様々なタイプの爆薬の主成分でもあり、燃料油と混合、装薬により爆発する。

2020年5月18日月曜日

私たちの寿命には超えられない壁が存在するのか?


The Fountain of Youth, Lucas Cranach the Elder (Wikimedia Commons)

「There's No Limit on Longevity, But Getting Super Old Is Still Tough」(寿命に限界はないけれど、長寿者になるのはやっぱり大変)というタイトルの記事を発見。

日本は現在世界トップの長寿国で平均寿命が84歳ですが、近代以前の世界各地での平均寿命はおよそ30歳と推定されています。

この寿命の伸びは、栄養状態の改善や医学の進歩のおかげですが、私たちの寿命は今後さらに伸びることが可能なのでしょうか?

これまでの世界最高齢の記録はフランス人の女性ジャンヌ・ルイーズ・カルマンさんがもつ122歳(と164日)ですが、これまではこのあたりが人類の寿命の限界なのではないか、とされていました。

そしてそれを裏付けるように、ヒトの寿命には限界がある(平均的な人は適切な医療処置により115歳まで、遺伝的に長寿の人は125歳まで生きられる)という報告「Evidence for a limit to human lifespan」が2016年にNature誌に掲載されました。

ところが、この論文に異議を唱える研究者たちによる報告がこのほどScience誌に掲載されたのです。

私たちが死亡する確率は年齢とともに指数関数的に増加する(8年ごとに死亡率が2倍になるというゴンペルツの法則)のですが、今回の研究で、105歳を過ぎると死亡率が増えない(横ばいになる)、つまり統計的には125歳を超えても生きることができる、ことがわかったのです。

今後の研究から目が離せません。(以上、Smart Newsの記事のご紹介でした)

Smart Newsの記事を読む

2020年4月10日金曜日

今年の春はオンライン授業を開講することになりました

現在非常勤講師として勤めている大学の科学英語はコロナウィルスの関係で今春はオンラインで開講することになりました。

現在そのための準備中なのですが、最初に出来あがったのがなんとエンディングテーマ!
(これって試験勉強の最中に気になって部屋を片付けたりしちゃう、あの現実逃避モードかしらん?)

長い長い100分のオンライン授業を終えた学生さんの息抜きになればいいなぁと思いながら作ったエンディングテーマです。(画像は教科書です。)





気に入ってもらえるでしょうか?

2020年2月3日月曜日

サツマイモはこうやって身を守る

敵から逃げて身を守ることのできない植物だからと言って、むざむざ食べられてしまうわけには行きません。


彼らには彼ら特有の身を守る術があるのです。

ある種のサツマイモは、葉っぱがかじられると、強い匂いを持つ化合物を放出して、周囲の葉っぱに警告を発し、その警告を受け取った葉っぱは、かじられるのを待たずにさっさと特別なタンパク質(防御タンパク質)を作り出すことがわかりました。
この防御タンパク質(スポラミン)は、昆虫の消化管に悪さをするのです。

これまでは警告を受け取っても自分がかじられるまで防御タンパク質を作り出さない例が知られていました。研究者らは「これは一種のショートカットだ」と言っています。




Scientific Americanの記事を読む

2020年1月25日土曜日

海をヒッチハイクするコバンザメに新発見

コバンザメ(remora)の頭には吸盤(sucker)があり、それを使って様々な生物にくっついて海中を移動します。

このほど吸盤を解剖し、その組織を電子顕微鏡とCTスキャンにより詳しく調べたところ、プッシュボタン様の構造が発見されたのです。これはメカノレセプターの一種で、これまで知られていなかった触覚を司っているのではないか、と研究者らは考えています。


文献を調べても、同じ様な構造は単孔類(monotremes)のカモノハシ(platypus)とハリモグラ(echidnas)にしか見つからなかったそうです。


さらに詳しくは論文(アブストラクト)をご覧ください。


さて、それではここでクイズに挑戦。


問1)このポッドキャストの中で比較生体力学の研究者がコバンザメがくっつく相手として述べている動物は次のうちどれ?(複数回答)


サメ  クジラ  イルカ   カメ   タコ   イカ  イソギンチャク

スキューバダイバー(つまり人間) コバンザメ

問2)さて、彼女はコバンザメはくっつくことでどんな利益を得ていると言っていますか?(彼女が述べたことだけを複数回答してください)


a. 捕食(predation)を避けることができる

b. くっついた相手に寄生している生物(parasites)を餌にすることができる
c. 同じ個体に複数のコバンザメがくっつけば、オスとメスの出会いがあるかもしれない
d. エネルギーを使わずに遠くまで移動できる

60-Second Scienceを聞く


解答はこの下に





















問1)サメ、クジラ、イルカ、カメ、スキューバダイバー、コバンザメ

問2)d以外の全て。dの内容も正しいのですが、彼女はポッドキャストの中で触れていませんでした。

2019年12月19日木曜日

モナリザはあなたを見ていなかった!

ルーブル博物館に展示されている「モナリザ」をご覧になったことがありますか?

絵の中のモナリザはじっとあなたを見つめ,あなたがその部屋のどこに立とうとも,彼女の視線はあなたを追ってくる....これは目の錯覚(optical illusion)なのですが「モナリザ効果」と呼ばれています.

ところが,ドイツの研究者らが実験により確かめたところ,モナリザはあなたを見つめてはいなかった(実はあなたの右15度の方向に視線を投げかけていた)ことがわかったのでした.

それでは,ここでクイズです.

1)24人の被験者が見つめたのは a)ルーブル博物館に展示してあるモナリザ
                   b)  コンピュータの画面に映し出したモナリザ

2)この実験によりわかったことは,
   a )そもそもモナリザ効果などというものは存在しない,
     b)モナリザの絵にはモナリザ効果はないが, モナリザ効果そのものは存在する.

答えはこのページの下に

60-Second Scienceを聞く

















解答)
1の答えは b 被験者たちはコンピュータスクリーン上で様々な大きさに拡大したモナリザの画像を見せられたのでした.

2の答えは  b モナリザ効果そのものは実在する(下記のリクルートポスターがその一例).今回の実験でわかったことは名前の由来になったモナリザにこの効果がないということでした.

(画像はWikipediaより)

2019年7月17日水曜日

毎週自然の中で2時間を過ごすことは体と心の健康に役立つ

自然に親しむことは体に良い,というのは大昔から知られている事実ですが,一体何時間,自然の中で過ごせば,心と体に良い影響があるのか?という質問に答えられる人(お医者さん)はいませんでした.

さて,このほどイギリスで2万人を対象に行われた調査からわかったことは

1週間に2時間,自然の中で過ごすと健康に良い ということ.

それ以下では効果が現れないそうです.
そしてこの2時間という数字は,年齢や性別,人種,職業,社会経済的レベルには関係なく共通で,さらには長期間病気の人や,障害を持つ人にもこのことは当てはまったのです.

この研究はScientific Reports誌に発表されました.論文(英語)を読む

では,ここでT/Fクイズをやってみましょう.
次の文が正しければTを間違っていたらFを記入してください.

1. 自然の中で過ごす2時間は,一度に2時間過ごしてもいいし,短い滞在を繰り返してトータルで2時間過ごしても良い.

2.研究者は調査をする前から,おそらく2時間位だろうと見当をつけていた.

3.2時間という理由について,研究者は医学的に根拠のある数字だと言っている.

解答はこの下に

60-second scienceを聞く





















1.T "People who spent at least that much time amid nature—either all at once or totaled over several shorter visits—were more likely to report good health and psychological well-being than those with no nature exposure. "

一度に取っても,数回に分けても良いということですね.

2. F "I have absolutely no idea. Really. We didn't have an a priori guess at what this would be, this threshold. It emerged. And I'd be lying if I said we predicted this. I don't know." 

これを予想していたと語ったら嘘になる.と言っています.

3.F   "While the findings are based on a tremendous number of people, White cautions that it’s really just a correlation. Nobody knows why or how nature has this benefit or even if the findings will stand up to more rigorous investigation"

多数の人を対象にした調査の結果であっても,今回の結果は単なる相関に過ぎず,何故,あるいは,どのように,自然が良い影響を与えているのかについてはわかっていない.さらに今回の知見が,さらに厳しい調査研究に耐えるかどうかもわからない.と言っています.