2019年3月21日木曜日

油の多い食餌は腸内細菌に悪影響を及ぼすという研究

脂っこい食事を摂りすぎると,お腹のバクテリアにも悪影響がおよぶかもしれない,というお話です.(2019年2月20日LIVESCIENCEからのトピック)

このほど中国で行われた研究では,200名を超える若く健康な成人の被験者に,油の少ない食事,適度に含む食事,油の多い食事を6か月食べてもらった結果,油の多い食事を6か月続けたグループは腸内細菌の量やそれらの細菌が作り出す化合物の量に「好ましくない変化」が生じたことがわかりました.長期的には二型糖尿病のような代謝性疾患にかかるリスクの増加につながるそうです.

腸内細菌と脂肪との関係については,これまでの研究から肥満にはある種の腸内細菌の欠乏が関与しているということがわかっていました.今回の研究では1日の摂取カロリーのうち20%を油脂から66%を炭水化物から取る(低脂ダイエット),30%を油脂から56%を炭水化物から取る(中脂ダイエット),40%を油脂から46%を炭水化物から取る(高脂ダイエット)を200名の若者に6か月続けてもらいました.

カロリー総量やタンパク質,食物繊維などの量は同じにし,実験の初めと終わりには被験者の血液と便を採取して調べました.

その結果, 低脂ダイエットの人々では6か月後にいわゆる善玉バクテリアが増えたのに対し高脂ダイエットの人々では善玉バクテリアの量はスタート時よりも減少していました.これらの善玉バクテリアが作り出す酪酸(一種の脂肪酸)は抗炎症性をもち,腸の細胞のエネルギー源となっているのです.

また,実験を続けるにしたがって,高脂ダイエットの人々では二型糖尿病に関係のあるバクテリアの量や体内の炎症を刺激すると考えられている長鎖脂肪酸の量が増えたのです.

この研究は,若い,健康な中国人を対象に行なわれたもので,すべての人に対して同様の結果が得られるかどうかはわかりませんが,最近若者の食事が西洋化しつつある(脂の量が増えている)日本の私たちにとってもこの研究結果は見逃せませんね.

さらに詳しくは,LIVESCIENCEの記事をご覧ください.

LIVESCIENCEの記事(英文)を読む

それにしても,ちょっと同情したのは,6か月油の多い食事をとらされた健康な男女の皆さん.早くヘルシーな食生活に戻ってくださいね!

0 件のコメント:

コメントを投稿