ガン細胞を直接標的にするのではなく,患者自身の免疫細胞にアプローチすることでガンを治療する革命的な方法に対し,2018年のノーベル医学生理学賞が与えられました.
T細胞には過剰反応を防ぐためのブレーキタンパクが存在しますが,ガン細胞はこれを悪用して免疫から逃れようとするのです.免疫チェックポイント阻害剤はこのブレーキを解除し,T細胞を目覚めさせるものですが,これが効かないガンも存在します.
そこで現在,糖(糖鎖)をターゲットとする新しいタイプのチェックポイント阻害剤の研究が進んでいます.
糖鎖とは細胞の表面を覆っている糖の鎖のことです.
例えば,腫瘍の表面を覆っているシアル酸という糖鎖にSiglecsというタンパク質が結合すると,免疫細胞は眠ってしまいます.Siglecsは分子ブレーキとして働いているのです.
例えて言えば,ガン細胞は糖鎖に身を隠している「羊の皮を被った狼」です.
そこで,ガン細胞表面の糖鎖からシアル酸を取り除けば,悪者の化けの皮が剥がれ,免疫細胞に悪者(ガン細胞)の正体が見えるようになる,というわけです.
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