今月イギリスの学術誌Proceedings of the Royal Society B:Biological Sciencesに発表された研究によれば、common cuttlefish (モンゴウイカ)の記憶は歳をとっても衰えないことがわかりました。
モンゴウイカの老体も老化現象(筋肉の衰えや食欲の減退など)は示すのですが、記憶力については若者並み。「年とともに記憶が衰えない動物」の最初の報告例になりました。
体の大きさの割に大きな頭脳をもつイカは無脊椎動物(invertebrate)の中ではもっとも知能が高いとされており、科学者の研究によれば、これまでに、迷路やパズルを解いたり、さらには、目の前のあまりおいしくない食べ物は見送り、我慢することで、後にもっと美味しい食べ物を手に入れるという訓練もできることがわかっていました。
今回の研究で実験に使用されたのは老若含めて24匹のモンゴウイカ。美味しさの異なる餌2種類と白と黒に塗り分けた領域を使った記憶力テストで、老体は若者と同様の記憶力を示しました。
が、その記憶力にも限界があり、死ぬ2、3日前になると記憶力も学習能力も大きく下がるのです。
実は、イカが生殖活動をするのは寿命が尽きる前なのです。そこでこの記憶力の良さはいつ、どこで、だれと交接したかを覚えている(ひいては自分の遺伝子をより広くより遠くまでばらまく)のに役立っているのではないか、と研究者らは考えています。