2010年11月8日月曜日

I am the researcherと名乗るとき。

研究者が「あなたの職業は?」と聞かれたら、「I am a researcher.(私は研究者です)」と答えると思います。

では、いったいどんな時に「I am the researcher.」と「the」を使うのでしょう?

これはある日本人の先生から最近うかがった実話です。

その先生が若いころ外国で学会に参加されたとき、偶然有名な外国の先生方お二人とご一緒に車で会場に行くことになりました。

若い彼は助手席に、年配のお二人は後部座席に。

車が出発すると、後ろのお二人は何とその先生が最近発表した論文の話を始めたのでした。

A先生「この著者を知っている?」

B先生「いや、知らない、まだ若い人みたいだね。」

という話を聞いていた彼は、おもむろに後ろを振り返り、「I am the researcher.」(私がその研究者です)

とおっしゃったとか。いえ、礼儀正しい先生のことですから、ちゃんと車を降りてから丁寧にご挨拶なさったことと思うのですが、「I am the researcher.」というフレーズはまさにそういう場面にこそ、ぴったりなのです。

日本人にとって冠詞は永遠の課題、と言ってもいいかもしれません。

「a」と「the」の違いで、こんなにもニュアンスが違う、という一つの例でした。

2010年10月21日木曜日

フランスからPierre Braunstein教授が来日します



ブラウンシュタイン教授のご専門は金属錯体。金属錯体は近年医療分野でも大変注目を集めている物質です。
来週は下記のように2回の公開講演が開かれます。(英語による発表で、通訳はつきません)

平成22年10月28日(木)午後1時20分~午後2時50分(開場1時)
講演タイトル Functional Ligands and their Complexes, Reactivity and Catalytic Relevance.

平成22年10月29日(金)午前10時40分~午後12時10分
講演タイトル Bimetallics, Clusters and Nanometerials

講演場所: お茶の水女子大学理学部1号館化学科第1講義室(415室)
講師:Prof. Pierre Braunstein(ストラスブール大学(フランス)教授)

2010年10月12日火曜日

今週の分子 Molecule of the Week

アメリカ化学会のホームページに"Molecule of the Week"というコーナーがあります。

今週の分子はこれ。抗炎症性をもつフラボノイド。さて私は何と言う分子でしょう?

回答と詳しい解説はACSのホームページをご覧ください。





2010年9月20日月曜日

今週の分子  Molecule of the Week

アメリカ化学会のホームページに"Molecule of the Week"というコーナーがあります。

今週の分子はこれ。有用だけど、危ない液体。さて、私は何という分子でしょう?

回答と詳しい解説はACSのホームページをご覧ください。






http://portal.acs.org/portal/acs/corg/content

2010年9月9日木曜日

ハーバード大学のCOOP




ボストンでは化学会の合間を縫ってハーバード大学の生協を探検してきました。

COOP CAFEという生協のカフェで食事をして、地下1階から3階まで広い書籍コーナーのSCIENCEの売り場で物理、化学、生物関係の本を4冊購入。 

メンバーカードは持っていないので、割引はありませんでしたが、日本ではあれだけ充実した洋書のコーナーを持っている書店はないので、行った価値は十分。 

ちなみに何を買ったのかは秘密ですが、秋以降の授業に早速使いますので、授業を受けているかたはお楽しみに!

最初の写真は私の食べたホットサンド(ローストターキーと溶けたチーズ)とコーク(両方で6.75ドルだったかな?)とってもおいしかったです。 

次の写真は書籍コーナーの2階から1階を見下ろしたところ。 

ハーバードのロゴ入りのスウェットなどのグッズや教科書類を売っているのは別の建物で、3つのビルからなるCOOPは広かったです。



    2010年9月2日木曜日

    アメリカ化学会秋の年会              Fall 2010 National Meeting & Exposition

    ボストンで行なわれたアメリカ化学会(American Chemical Society) の秋の年会に参加

    日本の化学会も会員数4万人、毎年開かれる年会が参加登録者数1万と大きいのですが、こちらはさらに規模が大きい。(アメリカ化学会の公式発表によると今回は1万4千人を上回る参加者がボストンを訪れたとのこと。ちなみに現在の会員数は16万人と世界最大。日本は第2位。)

    日曜日の朝7時半にホテルを出て、会場で登録受付をして、それからもらったプログラムを開いて、一通りタイトルを読んで、チェックをつけたら、それだけでもう午前中が終わってしまいました。

    日本の学会は朝9時から午後5時(おそくても6時)には終わるのに、こちらの場合朝8時から夜9時まで発表をやっていて、ホテルと会場を結ぶシャトルバスは朝7時から夜11時半まで運航している!本当に規模が違いますね。一度来てみたかったのですが、やっぱり来てよかったと思います。

    日本顔負けの暑さだったニューヨークからボストンに入ると、天気が一転して、もう秋がそこまで来ていると感じられる肌寒い日々です。
    日本で言うと10月くらいの感じかな。

    ニューヨークの摩天楼からボストンに来ると大都市でありつつも、古い建物の落ち着いた雰囲気があり、全然印象が違うので驚きました。

    化学会の様子を写真でお届けします。


    上の写真は、広い体育館のようなところで行なわれているポスターセッション。夜はビールやソフトドリンクを片手にディスカッションや質疑応答などしている光景が見られます。



    入り口を入ってすぐにACSの大きなサインボードが立ててありました。この後ろにインフォメーションとか、登録受付などのコーナーが。

      2010年8月8日日曜日

      論文にすることの大切さ!

      今日のChemical Elementのブログに書いたのですが、マンガンはスウェーデン人の化学者シェーレによって発見された元素です。

      このシェーレ、実はジョゼフ・プリーストリよりも早く1771年に酸素を発見していました。ところが、その業績を著書「空気と火についての化学的観察と実験(Chemische Abhandlung von der Luft und dem Feuer)」にまとめたのが1775年、さらにその後さまざまな不幸なアクシデントがあり、1777年になってようやく本が出版されたため、酸素の発見という化学史上の業績は1775年に酸素の発見を発表したプリーストリのものになってしまいました。

      シェーレのことをアイザック・アシモフは「hard-luck Scheele」(不運なシェーレ)と呼んだとか。

      「研究は実験結果をまとめて、結論を出しただけでは終わっていない。論文として世間に公表して初めて完結する」とはよく言われることですが、論文にすることの大切さをもう一度心に留めておきたいと、改めて思います。

      シェーレについてさらにご興味のある方は下記のサイトをご覧ください。

      http://www.bookrags.com/biography/carl-wilhelm-scheele-wsd/

      2010年8月2日月曜日

      理系、文系問わず、海外インターンシップに興味があれば「AIESEC」

      先週は夏休みを利用した海外でのインターンシップを仲介してくれる団体の「IAESTE」をご紹介しました。

      IAESTEは理工系学生が対象ですが、理系、文系を問わず海外のインターンシップを仲介してくれるAIESECという団体もあります。


      AIESECが扱っているのは、特に夏休みに限定したインターンシップではなく、一年中いつでも、また期間も短期、長期とさまざまなようです。ご興味のある方は下記のサイトをご覧ください。

      http://www.aiesec.jp/

      2010年7月30日金曜日

      IAESTE って知ってる?

      http://www.iaeste.or.jp/

      このブログを読んで下さっている方は理系の学生さんが多いのではないかと思うのですが、夏休みを利用し、海外の企業や研究機関で研修(実習)する国際インターンシップというのがあります。

      もう60年以上の歴史を持つ、国際的な組織IAESTE。

      何を隠そう私も実は大学3年の夏にオランダのUnilever(ユニリーバ)の研究所で3週間のインターンシップを経験しました。

      毎日研究所に通い、頂いたテーマ(脂肪酸の分析だったと思う)の実験をして、英文レポートにまとめました。そのレポートの英文のレベルはともかく(今から思うと顔から火が出るほど恥ずかしい・・・)、初めての海外での生活、オランダの大学生との交流、など本当に素晴らしい体験をさせて頂きました。そろそろ今年度の募集も始まるようです。

      2010年7月23日金曜日

      未来のしゃべる服!?

      7月15日付けのScientific American 60-Second Scienceのタイトルは

      Clothing That Can Record or Produce Sound(録音や発声のできる服)

      録音や発声の可能性を秘めた圧電繊維がMITの研究者により開発されたとのこと。

      興味のある方はまず音声をお聞きください。

      音声を聞く

      MITの研究者が開発したプラスチック分子は片側にフッ素原子、反対側に水素原子が並ぶ不均衡な分子構造により圧電性を示す。電流により振動するプラスチック繊維はマイクやスピーカーとして働く。この繊維で洋服を作れば、体を流れる血液の音を感知して、血圧のモニターができる。


      単語帳

      yesterday:時代遅れ
      pick up a sound:音を拾う
      beep:ビーっと鳴る
      fiber:繊維
      eventually:ついには
      plastic:プラスチック
      microphone:マイクロホン
      particular:特定の
      molecular structure:分子構造
      lopsided:不均衡な
      arrangement:配列
      fluorine atom:フッ素原子
      hydrogen atom:水素原子
      asymmetry:非対称
      piezoelectric:圧電(性)の
      changes shape:形を変える
      electric field:電場
      encounter:出会う
      electric current:電流
      vibrate:振動する
      speaker:スピーカー
      vibration:振動
      amplify:増幅する
      clothing:衣類
      capture:捕まえる
      monitor:モニターする
      detect:検出する
      imperceptible:感知できない
      blood flow:血流
      shirt:シャツ
      24-hour blood-pressure monitor:24時間血圧モニター

      でも、本当に将来「血圧の上昇を感知しました。座ってください」なんて、シャツがしゃべるようになったら、ちょっとうるさそうですね。

      2010年7月15日木曜日

      Chemical Elements 本日スタート

      化学の基本は何をおいてもまず元素。

      水素がH、酸素がOと高校時代に暗記した元素記号。
      あれはほとんどが元素の英語名の頭文字だってこと、知ってる?

      例えば水素のHは、Hydrogen(ハイドロジェン)、酸素のOは、Oxygen(オキシジェン)の頭文字なんです。

      今日から一日一元素。
      英語名を覚えませんか?

      2010年7月5日月曜日

      理科の辞典が発売されました

      この6月25日に朝倉書店から「理科の辞典」が発売されました。
      物理、化学、生物、地学などの高校レベルの理科の基本科目から、生態学や遺伝などの分野まで、用語が50音順で収録されています。カラフルな図版もたくさん。これから理科を本格的に学ぼうという高校生の方から教員やサイエンスコミュニケーターなど広く理科教育にかかわる方々に是非、お近くの書店で手にとってご覧頂きたいと思っています。ちなみに私は化学の部門を担当しました。

      詳しくは下記のサイトをご覧ください。

      http://www.asakura.co.jp/books/isbn/978-4-254-10225-3/

      2010年6月23日水曜日

      帝王切開で生まれた赤ちゃんは産道を通った赤ちゃんよりも感染しやすい?!

      帝王切開で生まれた赤ちゃんと産道を通った赤ちゃんでは、その体についている細菌に違いがみられるという研究が発表されました。サンプル数が9と非常に少ないので、これだけで結論を出すのは早急かもしれないけど、興味深い結果ですね。

      ご興味のある方は下記のアドレスのサイトにて一分間のニュースをお楽しみください。



      http://www.scientificamerican.com/podcast/episode.cfm?id=babys-bacteria-related-to-birth-met-10-06-22
      単語帳

      bacteria     細菌
      born vaginally  正常(産道からの)出産で生まれた
      microbe     細菌,微生物
      Caesarean-section 帝王切開
      uterus 子宮
      sterile 無菌の
      womb 子宮
      immunity    免疫(力)
      bug ばい菌
      microbiota 微生物叢
      susceptible            感染しやすい
      snaggle                 盗む
      bodily real estate ここでは体を土地に例えて「不動産」と言っているが、細菌の住むところを指す
      harmful infection    有害な感染
      land grab               土地の争奪
      a foot in the door    最初の一歩を踏み出す、とっかかりをつかむ

      2010年6月7日月曜日

      英語はもはやアメリカ人やイギリス人のものではない?!

      英語力をアップする上で、正しい英語の発音を身につける事はとても重要です。

      だから、恥ずかしがらずに、アメリカ人やイギリス人風に聞こえるように、発音練習をすると、実はヒアリング力も向上します!

      でも、現実には発音練習も大変だし、なんだか照れくさかったりしてついカタカナ英語になっちゃう。で、「日本人の英語」なんて、言われて、外国人には通じない。でも、日本人同士だとすごーく通じる、なんて経験、ありませんか?

      そんなあなたに、面白いサイトを見つけました。

      oddcast社の読み上げソフトのデモ版

      このサイトではあなたの入力する言葉を日本人だったらこんな風に発音するよ、ってコンピュータが読み上げてくれるのです。

      いろんな国のヴァージョンもあって、ちょっと楽しい。

      遊んだ後は、正しい発音の練習もお忘れなく!

      http://www.oddcast.com/demos/tts/tts_example.php?clients

      2010年5月31日月曜日

      科学の記事を英語で読みたい人、リスニングをしたい人

      科学の記事を英語と日本語で読みたいのだけれど、適当な雑誌はありますか?

      家でリスニングの練習をしたいのだけど、何かお勧めはありますか?

      という質問を受ける事があります。

      リーディングのお勧めは「英語で読む日経サイエンス」
      ウェブ上で日経サイエンスに掲載された記事を原文と翻訳文の両方で読む事ができます。

      リスニングのお勧めは 「Scientific American の60-Second Science」
      かなり速いスピードですが、最新の科学の話題をアナウンサーが1分にまとめたPod-Castです。英文原稿がついているので、内容を確認することができます。

      関連リンクとして最後の頁にまとめました。
      関連リンクはこれからも少しずつ増やして行きたいと思います。
      面白いサイトをご存知でしたら、是非教えてください。

      2010年5月17日月曜日

      Temperature(温度)に冠詞はつくの?

      四苦八苦しながら作った初めてのOne Point Lessonだったけど、どうもわかりにくい。

      あまり無理して言葉を削らずに、授業で話しているように、とアドバイスを頂き、もう一度書き直してみました。

      抽象名詞の温度や圧力がどういうときに、数えられる普通名詞になるのか、

      ご興味のある方は是非 Lesson 1 を読んでみてください。

      2010年5月10日月曜日

      冠詞ってむずかしい

      科学英語でもやっぱり冠詞はむずかしいですね。

      名詞には数えられる名詞(普通名詞など)と数えられない名詞(抽象名詞、物質名詞)があって、数えられる名詞が単数の場合、必ず冠詞が必要です。

      つまりりんご「apple」だったら、an apple、the apple、apples、the applesのどれかになるわけ。

      一方数えられない名詞の、抽象名詞(例えば温度「temperature」や圧力「pressure」)には「a」はつきません。

      なのに、英文を読んでいるとよく「a temperature」という表現にぶつかります。

      というのも、科学英語ではしばしば抽象名詞が普通名詞に変わるからなのです。

      きょうから始める One Point Lesson

      Lesson 1 は「Temperature(温度)に冠詞はつくの?」

      2010年4月22日木曜日

      元素の英語名

      きょうの授業では化学元素の英語名をとりあげました。

      ケイ素(Si)が英語では「silicon 」(シリコン)というのは知らなくても、聞けば「それで、元素記号がSiなんだ」って納得できます。

      でもナトリウム(Na)が英語では「sodium」となると、頭の中は?????
      実はナトリウムっていうのはドイツ語で、英語のsodiumはsoda(ソーダ)から来た言葉。

      ところで、一番発音がむずかしいのは、実はPb(鉛)
      英語では「lead」なのだけど、これを「レッド」って読める人はすごーく少ない。

      2010年4月17日土曜日

      科学英語を始めよう

      春、桜、新学期。

      何か新しいことを始めたくなる季節。

      きょうから、すこしずつ科学英語を一緒に学びませんか?