2017年10月26日木曜日

ゾンビ細胞をやっつけて若返る!

今日はNature Magazineからの話題をご紹介します.

「An anti-aging strategy that works in mice is about to be tested in humans」
 (マウスで成功した老化防止戦略がいよいよヒトでテストを開始)

キーポイントはゾンビ細胞.

2000年のある日,腫瘍の研究のために遺伝子組み換えで作ったマウスは急速に老化していくという奇妙な症状を示しました.その体から大量に発見された奇妙な細胞は「細胞分裂をしない」けれども「死ぬこともない」細胞でした.

これらの「ゾンビ細胞」を殺せば, マウスの早すぎる老化を抑えることができるだろうか?

答えは「YES」

2011年の実験では,これらの「老化細胞」(senescent cell)を取り除くことで老化による被害の発生を防止することができました.続く7年間の間に多くの実験がなされ,老化細胞が老化臓器に蓄積していること,それらを除去することで病気の軽減や防止が可能であることが確認されたのです.

さらに今年の研究では,マウスから老化細胞を一掃することで,健康を取り戻し,毛皮の密度や腎臓機能が改善されることが示されました.肺疾患も改善され,損傷を受けた軟骨(cartilage)も修復されたのです.

2016年の研究では正常に年を取っているマウスの寿命がこれにより伸びる可能性のあることが示されました.

老化細胞を除去するだけで,新しい組織の生成を刺激することができるのです.

この続きは,Nature Magazineの記事をお読みください.

Natureの記事(英語)を読む




2017年10月25日水曜日

重力レンズを使って星の重さを測る方法(ビデオ)

今日ご紹介するのは Scientific American 提供のビデオです.

ビデオを見る

天文学者たち(astronomers)はこのほど,ハッブル宇宙望遠鏡とアルバート・アインシュタインが開発した技法とを用いて,白色矮星(white dwarf star)の重量を初めて測定しました.

アインシュタインは1916年,星のような巨大物体は時空の構造 (fabric of space-time)をたわませる(warp)だろうと述べました.その結果,星のそばを通る光線は曲げられ,それ以前とは違う軌跡を描くことになるのです.

1936年,チェコのエンジニア,マンドル,がアインシュタインを訪れ,ある星が別の星の前を横切るとどうなるのか,計算してほしいと頼みました.

アインシュタインの計算はとても短い論文にまとめられ,サイエンス誌に掲載されたのです.

もし一つの星が別の星の前を横切るなら,重力レンズ効果(gravitational lensing effect)のため,遠くにある星は拡大され,歪められるであろう.

今日,重力レンズは天文学における強力なツールとして,宇宙の大きさの測定やダークマターの地図の作成,あるいは薄ぼんやりとしているために見つけられない遠くの銀河を見つけ出すために用いられています.

さて,今回天文学者たちは,白色矮星の後ろを普通の星が通過するのを観察したのです.アインシュタインの予言通りそれは歪みました.正確な歪みの度合いから彼らは白色矮星が時空をどの程度歪ませたのかを計算し,そこから重量(太陽の質量のおよそ2/3に相当)を求めることができたのです.


2017年10月24日火曜日

ヨーロッパトガリネズミの驚くべき冬対策

トガリネズミという動物はご存知?

ネズミと名前が付いているけれど,むしろモグラやハリネズミに近い動物.鼻先が細長く尖っていて,耳や目が小さく,体はビロードのような毛で覆われています.


今日ご紹介するのはこのトガリネズミの驚くべき冬対策.(出典:Scientific American)


原文を読む(トガリネズミの写真つき)


Current Biology誌に発表された研究によると,ヨーロッパトガリネズミは冬が近づくと,頭蓋が8割ほどに縮小して厳しい冬に耐えます.


12匹のヨーロッパトガリネズミを使った研究によれば,気温が下がることが引き金となり,彼らの頭蓋骨(cranial bones)は文字通り分解吸収され,冬の間中縮み続けます.春になり,気候が暖かくなると再生が開始し,頭蓋の大きさは夏に最大となるのです.


縮むのは頭蓋骨ばかりではなく,脳の大きさも30%ほど減少するほか,その他の臓器にも減少が見られ,背骨も短くなります.その結果7月から2月までの間に体重は18%減少します.


このような体の縮小は冬に餌が少なくなることと関係しています.体重が減ることで動物のエネルギー消費が減少するからです.トガリネズミは地上最小の哺乳類ですが,最も高い相対代謝率(relative metabolic rate)を持っているのです.


2017年10月23日月曜日

ホッキョクグマがアザラシを食べなくなったから...

地球温暖化がホッキョクグマ(polar bear)に与える影響(その2)

地球温暖化の影響で北極海の氷が溶け,ホッキョクグマが獲物(アザラシ)を探す氷の舞台(platform)がどんどん減っているのは,2017年8月18日(金)のブログ 

「ホッキョクグマがさらにアザラシを食べなくてはいけなくなったわけ」

に書いた通り.

さて,その結果 陸地で過ごす時間の長くなったクマたちの食生活に変化が...

氷上ではワモンアザラシ(ringed seal)を食べていたホッキョクグマたちは,打ち上げられたホッキョククジラ(bowhead whale)の死体を食べるようになったのです.

その結果,ホッキョクグマの体内水銀濃度が減少しました.

というのも,水銀が蓄積されている魚やそのほかの動物を食べるワモンアザラシとは異なりホッキョククジラはプランクトンを食べているから(水銀の蓄積度が低い)のです.

気候変動の結果は単に「氷が溶ける」という事実にとどまりません.もっと奥が深い.様々な影響が生じているのです.

60-Second Scienceを聞く 

2017年10月22日日曜日

私たちはなぜ血を吸われた時に蚊を叩き潰せないのか?

あ,もしかして蚊に刺された?と思って見ると,すでに蚊の姿はなく....

やがて,皮膚が痒くなってきて,あっちゃーやっぱり刺されたんだ,と腹をたてること,ありませんか?

なぜいつも気がついた時には蚊がいないのかしら?とかねてより思っていたのですが,10月20日付の60-Second Scienceはその謎の一端を解き明かしてくれました.

ポッドキャストを聞く

マラリア蚊が血を吸ったあと,どのようにして私たちに気づかれずにしかも速度を落とすことなく逃げ出すか,という研究からわかったこと.

それではここでクイズに答えてください.

Q1 哺乳類の血を吸った蚊の体重は元の何倍にまで増える?

Q2  血を吸った後のマラリア蚊がどのように飛び立つのかを調べるのに,1秒間に13,500フレームのカメラで撮影を行いました.さて,使用したマラリア蚊はなん匹?

  1) 53匹    2)60匹   3)63匹

Q3 蚊の秘密はその羽根にありました. 1秒におよそ600回のはばたきで飛び立つ蚊は.....が可能になったのです.

....の中に入るのは次のどれ?

  1)そのほかの動物(鳥とか,ハエ)と異なり,足で(皮膚を)強く押すことなく,ふわっと軽やかに飛びつこと

  2)飛び立つのが驚くほど早くなる(3ミリ秒しかかからない)

Q4 蚊をパチン!と叩くときに使わない表現は次のどれ?

  1)slap     2)swat  3)splash


解答はこの下に.
















A1 2倍

A2   3)の63匹

A3  1)が正しい.2)は飛び立つのに実際は「30ミリ秒」かかる点が事実と違う.

A4 3)  splashは水しぶきをあげるなどのときに使われる表現.

2017年10月21日土曜日

ぱっくり開けたカエルの口の中で,ベビースネークもぱっくり口を開けている画像

今日ご紹介するのは,すっごくショッキングな(でも私的には思わず可愛いと叫んでしまいそうな)写真です.

「Snake Head Pops Out of Frog's Maw in Mesmerizing Photo」 (カエルの口から蛇の頭が飛び出している魅力的な写真)というタイトルで紹介されているLIVESCIENCEのこの写真にはキャプションが...

「One Last Scream Into The Abysssss」 (最後の叫びをあげて奈落の底へ〜〜〜)

著作権の関係で,ここに掲載することはできないので,是非ご自身でLIVESCIENCEのサイトからご覧になってください.

写真を見る

2017年10月20日金曜日

痩せたい人への朗報(Scientific Americanの記事より)

痩せるにはダイエットと運動が重要だとわかっていても,なかなか実現は難しい.

手術で胃を小さくするのは効果があるけど,危険もある.

もしたっぷりと取り入れることで,低脂肪食の方が好きになり,満腹感が長く続き,エネルギー摂取を調節するニューロンを活性化してくれるタンパク質があったら...

そんな虫のいい話なんて有り得ない,と思うかもしれません.

でも,すでにマウス,ラットそして猿を使った実験の結果,この方法は見込みがありそうなのです.もしこの療法がヒトにもうまく働くのであれば,肥満や糖尿病を克服する,全く新しい方法となるでしょう.

この研究で鍵を握っているのはGDF15というタンパク質.何種類かの動物において,痩せた個体は太った個体よりもGDF15の量が多いことがわかっています.

研究者らは,そこで遺伝子工学で作り出した2種類の安定な形のGDF15を直接動物に注入したところ,毎週このどちらかのタンパク質を注射された動物(ネズミと猿)は特に目立った重い副作用を引き起こすことなく体重を減らしたのでした.およそ一月後にネズミの場合は,体重の17%〜24%の減量に成功.また猿の場合は5〜10%の減量となりました.一方このタンパク質の注射を受けなかった動物は引き続き体重を増やしたのです.体重だけでなく,改善は血糖値,インスリン量,そして中性脂肪にも見られました.

詳しくは下記のサイトからScientific Americanの記事をお読みください.

英文の記事を読む