2017年12月10日日曜日

私たちの数に対する概念(少ない=左,多い=右)は生まれつきのものなのだろうか?

7並べをする時を考えてみてください.普通は左端に1が,右端に13が来るように並べるのではないでしょうか?

私たちには(アラブ系などの右から左に文字を読む民族は別として)少ない=左,多い=右,という固定観念があるのです.

ところで,それは生まれつき備わったものなのでしょうか?

生まれたばかりの赤ちゃんにも少ない=左,多い=右,という数の概念があるのでしょうか?

それを確かめるために,生まれてから数日の赤ちゃんを80人集めて,音と画像を使ったこんな実験が行われました.

「バ」または「タ」という音声を6回または18回繰り返して赤ちゃんに聞かせます.6回は少ない,18回は多いという概念を表しています.

同時に赤ちゃんたちにはタブレットの画面を使って,2種類の長方形を見せます.6回聞いた子には「短い長方形」を,18回聞いた子には「長い長方形」を.

1分後,最初に6回「バ,バ,バ,バ,バ,バ」と聞いた赤ちゃんには18回の「バ」を聞かせ,分割した画面の左と右の両方に「長い長方形」を映し,赤ちゃんがどちら側の画面をより長く見つめるかを調べます.

もし右手の長方形をより長い間見つめていたら,「多い」(18回)と「右」とが関連付けられていると推論できます.

その結果は驚くべきことに,最初に6回「バ」を聞いた子に18回の「バ」を聞かせると,平均して右側の「長い長方形」を左の2倍の時間,見ていたことがわかりました.
最初に18回聞かせた赤ちゃんでも同じ結果(今度は左を右の2倍見る)が得られたのでした.

このことから,赤ちゃんの時から私たちにはすでに少ない=左,多い=右,という数の概念があることがわかったのです.

(この研究はCurrent Biologyに報告されています)

Scienceの記事を読む

Current Biologyの論文を読む






0 件のコメント:

コメントを投稿