2017年12月20日水曜日

放射線を照射するだけで,不整脈が治る!

心室頻拍(ventricular tachycardia (VT))とは心室が小刻みに震え,心臓が全身に血液を送れなくなる状態のこと.

それまで心臓発作を起こしたり,感染症,炎症性の疾患にかかった結果生じた心臓の傷跡(scar)が原因と考えられており,発作が生じると,除細動器(defibrillator)を作動させて拍動を正常に戻します.

さて,心拍数が早くなる不整脈の治療にはこれまで薬物や手術(カテーテルを足から入れ,心臓の傷跡を熱で焼き切る)が用いられてきました.

このほど,放射線を体外から照射することにより,傷跡部分を取り除くという新しい方法が報告されました.(放射線治療はこれまで脳や肺腫瘍の治療に使われています.)

その結果は驚くべきものでした.
治療の翌年には発作の数が99.9%も減少したのです.

それでは今日も数に関するクイズです.

60-Second Scienceを聞いて,正解を選択してください.

1)治療を受けた患者の数は何人?
  a) 5人  b)  15人 c) 50人

2)治療前3か月間に,患者(全員)は何回不整脈の発作を経験した?
  a)  650回, b) 6,500回, c) 65,000回

3)治療後6か月で不整脈の発作は何回に減少した?
  a) 7回, b) 70回, c) 700回

4)翌年,患者全員が経験した発作の数は?
  a) 0回, b) 4回, c) 14回


60-Second Scienceを聞く



















解答
1)a の5人
2)b の6500回
3)c の700回
4)b の4回 

この療法は現在特許出願中.今後さらに安全性などが確認されれば,長時間にわたる手術の代わりにわずか15分間の照射だけで済むというこの方法は,患者さんへの朗報となりそうですね.

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