最近の研究で,ミツバチが近くにいることを知って,蜜をさらに甘くする花の存在が報告されました.
さて,多くの生物は「音」を利用して生き延びてきました.
狼の遠吠えが聞こえると,ウサギは逃げる.
雷が落ちた音が遠くで聞こえると,鹿は避難場所を探す.
鳥は歌を歌って,恋人を探す.
だから当然植物だって音を利用しているのでは?という素朴な疑問がこの研究の根底にありました.
考えてみれば,音というのは波なので,振動を受信できるなら,必ずしも哺乳類の耳のように「骨」や「毛」が組み合わさった複雑な器官がなくても音は感知できます.
そこで beach evening primrose(マツヨイ草)を,無音の状態,低周波,中周波,高周波の音,と蜂の羽音にさらした状態に置き,それぞれ,花の蜜に含まれる糖分の量を調べたのです.
マツヨイ草 |
つまり「蜂が近づいてくるのを聞いた」花は,その蜜を甘くしたのです.
この研究の論文は査読前の原稿として(preprint service),インターネット上で読むことができます.
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今回の記事はSmithsonian.comのSMARTNEWSからのご紹介です.
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単語
cochlea (内耳の)蝸牛
ubiquitous いたるところに存在する
花がミツバチの羽音を聞いて,蜜を甘くするとは....
最近植物の持つ知られざる力についての研究が盛んです.
これまでに,本ブログでもトマトに関する面白い研究をご紹介しています.
2018年5月のブログ トマトには嗅覚があるのか?
2017年9月のブログ イモムシの共食いと病気とトマトの関係