2020年12月28日月曜日

遺伝子操作でバニラビーンズの生産量を増加させる!2020年12月21日付SmartNewsより

 世界のバニラビーンズの8割がマダガスカル島で栽培されているってご存知でしたか?


Credits : Everglades National Park
バニラはラン科に属する蔓性植物(写真)で、その豆(種子鞘)から取れるのがバニラビーンズです。

ところが、このバニラは病害を受けやすくまた嵐によって収穫が減るなど、需要に大して供給が間に合っていません。

このほど米国フロリダ大学の植物遺伝学者Alan Chambersらのグループによりバニラの全ゲノムが明らかになりました。

今後は遺伝子操作により、生産性が高く、より育てやすい、そしてバニリン(バニラの香りの元である化合物)含有量の高い(つまり高品質な)バニラを作り出せるだろうと期待が寄せられています。

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2020年12月26日土曜日

光害(light pollution)により鳥は巣作りを早め、気候変動による影響を和らげる!2020年12月21日付SmartNewsより

光害(light pollution)とは過剰な光や不要な光による公害のこと。

夜空に輝く美しいイルミネーションも、野生動物にとっては大迷惑。体内時計が狂ってしまうのです。

ところで最近の気候変動の影響で春の訪れが早まってきているのですが、これも春の恩恵を最大に受けてひなを育てようとする鳥にとっては大迷惑。

ところで、光害がこの点では鳥に味方しています。

鳥の巣作りの時期が都市部では1ヶ月、森の多い田舎では18日、従来よりも早まっていることがわかったのです。

ただし、二つの悪を合わせれば正になる、というわけではありません。気候変動も光害も共に鳥の生態を変えているのです。

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2020年12月24日木曜日

見よ、世界で一番醜いランの花を!2020年12月21日付SmartNewsより

英国キュー王立植物園の発表によれば、 今年マダガスカル島で新しく発見されたランの花が「世界で一番醜いラン」という栄誉に輝きました。

発表を見る(写真付き)

このランの正式な学名はGastrodia agnicellus。agnicellusというのはラテン語で「小さな子羊」という意味です。発見した植物学者Johan Hermansは「想像力を働かせると、花の中に子羊の舌が覗いているように見えませんか?」と語っている。

さて、見かけが肉のような茶色いこの花、意外なことにとても良い香りがするそうです。

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2020年12月20日日曜日

体の小さなコオロギは葉っぱのメガホンでメスを呼ぶ!2020年12月18日付SmartNewsより

暖かい夏の夜に聞こえるコオロギの鳴き声。あれはオスがメスに求愛をしているのです。

メスは大きい声に惹かれるので、この競争では、体の大きいコオロギ(したがって声も大きい)が有利です。

ところで、このほど新しい研究により、体の小さなコオロギはこの競走に勝つために、葉っぱのメガホンを利用することがわかりました。葉っぱに穴を開け、その中に頭をつっこんで羽を震わせて鳴くと、頭の周りの葉がメガホンのように働いて、コオロギの鳴き声は3倍も大きく響くのです。

(さらに、愛の営みの時間も体の大きいオス(40分)は小さなオス(10分)の4倍だったのに、メガホンコオロギではその時間も大きなオス並みに長くなったとのことです)

2020年12月19日土曜日

海洋哺乳類は新型コロナウィルスに感染するだろうか?2020年12月9日付SmartNewsより

SARS-CoV-2, the virus that causes Covid-19, is zoonotic, meaning it spreads between animals and humans.

(新型コロナウィルス感染症を引き起こすウイルス(SARS-CoV-2)は zoonotic、つまり動物とヒトの間で広がります。)

zoonotic:人畜共通伝染病の

コウモリに由来するこのウィルスは,中間宿主となる別の動物を経てヒトに感染したのだろうと考えられています。その後、さらにヒトから動物へと感染は広がっています。

これまでにヒトからの感染が報告された例は、トラ、イヌ、ミンク、そして飼い猫です。

さて、10月にScience of The Total Environmentに発表された研究によれば、イルカやアザラシなど15種類の海洋哺乳類にヒトの細胞に存在するのと同じレセプターが見つかり、彼らもコロナウィルスに感染しやすい存在であることが示唆されました。

ただし今のところ感染例は報告されていません。

海に棲む哺乳類は私たちの排水が原因で新型コロナウィルスに感染するのでしょうか? 

シラキュース大学の疫学者Larsen氏はその可能性は極めて低いと語っています.

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2020年12月16日水曜日

発酵した果実にはアルコールが含まれているのです。そこのリスさん、食べ過ぎにご注意!

 今日は久しぶりにSmithonian Magazine's のSmart Newsから最近の記事(2020年12月3日付)をご紹介します。

ビデオに映っているリスちゃんが食べているのは発酵した梨。中に含まれているエタノールでほろよい加減、ふらふらしながらも、絶妙にバランスを保っている様子はプロのコメディアンも顔負け!

さて、野生動物が発酵した果実を食べてほろよい状態になってしまうことはめずらしいことではなく、これまでに鳥やこうもり、ヘラジカなどが大量の発酵果実を食べた事実が知られているとのこと。

ただし、こうもりなどアルコールとうまく付き合えるタイプは別として、野生動物はエタノールの悪影響を受けてしまう可能性があるので、面白がってわざと野生動物に発酵した果実を与えたりしないように、とのことです。(良い子の皆様はこのような映像を撮ろうとしないでください。)

映像を見る

例年なら師走のこの時期、忘年会帰りの車内で似たような風景が見られるのですが、今年はコロナの影響でお酒に酔って居眠りする人の数も減っているようです。

2020年8月8日土曜日

ベイルートの事故の原因、硝酸アンモニウム(NH₄NO₃) って何?

2020年8月4日(現地時間)ベイルートで起こった大爆発の原因は保管されていた大量の硝酸アンモニウムでした。
アメリカの科学雑誌サイエンティフィク・アメリカン(Scientific American)のオンライン記事では硝酸アンモニウムについて下記のように記載されています。
Ammonium nitrate has the chemical formula NH₄NO₃. Produced as small porous pellets, or “prills”, it’s one of the world’s most widely used fertilisers.
It is also the main component in many types of mining explosives, where it’s mixed with fuel oil and detonated by an explosive charge.
用語集
ammonium nitrate 硝酸アンモニウム/chemical formula 化学式/porous 多孔性の /pellet ペレット/prill 顆粒(小球)/fertiliser 肥料/component 成分 /mining 採鉱 /explosive 爆薬/fuel oil 燃料油/detonate 爆発させる/explosive charge 装薬







訳文:

硝酸アンモニウムの化学式はNH₄NO₃である。小さな多孔性のペレット(顆粒)として製造される、全世界で最も広く使用されている肥料の一つである。これはまた採鉱で用いられる様々なタイプの爆薬の主成分でもあり、燃料油と混合、装薬により爆発する。

2020年5月18日月曜日

私たちの寿命には超えられない壁が存在するのか?


The Fountain of Youth, Lucas Cranach the Elder (Wikimedia Commons)

「There's No Limit on Longevity, But Getting Super Old Is Still Tough」(寿命に限界はないけれど、長寿者になるのはやっぱり大変)というタイトルの記事を発見。

日本は現在世界トップの長寿国で平均寿命が84歳ですが、近代以前の世界各地での平均寿命はおよそ30歳と推定されています。

この寿命の伸びは、栄養状態の改善や医学の進歩のおかげですが、私たちの寿命は今後さらに伸びることが可能なのでしょうか?

これまでの世界最高齢の記録はフランス人の女性ジャンヌ・ルイーズ・カルマンさんがもつ122歳(と164日)ですが、これまではこのあたりが人類の寿命の限界なのではないか、とされていました。

そしてそれを裏付けるように、ヒトの寿命には限界がある(平均的な人は適切な医療処置により115歳まで、遺伝的に長寿の人は125歳まで生きられる)という報告「Evidence for a limit to human lifespan」が2016年にNature誌に掲載されました。

ところが、この論文に異議を唱える研究者たちによる報告がこのほどScience誌に掲載されたのです。

私たちが死亡する確率は年齢とともに指数関数的に増加する(8年ごとに死亡率が2倍になるというゴンペルツの法則)のですが、今回の研究で、105歳を過ぎると死亡率が増えない(横ばいになる)、つまり統計的には125歳を超えても生きることができる、ことがわかったのです。

今後の研究から目が離せません。(以上、Smart Newsの記事のご紹介でした)

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2020年4月10日金曜日

今年の春はオンライン授業を開講することになりました

現在非常勤講師として勤めている大学の科学英語はコロナウィルスの関係で今春はオンラインで開講することになりました。

現在そのための準備中なのですが、最初に出来あがったのがなんとエンディングテーマ!
(これって試験勉強の最中に気になって部屋を片付けたりしちゃう、あの現実逃避モードかしらん?)

長い長い100分のオンライン授業を終えた学生さんの息抜きになればいいなぁと思いながら作ったエンディングテーマです。(画像は教科書です。)





気に入ってもらえるでしょうか?

2020年2月3日月曜日

サツマイモはこうやって身を守る

敵から逃げて身を守ることのできない植物だからと言って、むざむざ食べられてしまうわけには行きません。


彼らには彼ら特有の身を守る術があるのです。

ある種のサツマイモは、葉っぱがかじられると、強い匂いを持つ化合物を放出して、周囲の葉っぱに警告を発し、その警告を受け取った葉っぱは、かじられるのを待たずにさっさと特別なタンパク質(防御タンパク質)を作り出すことがわかりました。
この防御タンパク質(スポラミン)は、昆虫の消化管に悪さをするのです。

これまでは警告を受け取っても自分がかじられるまで防御タンパク質を作り出さない例が知られていました。研究者らは「これは一種のショートカットだ」と言っています。




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2020年1月25日土曜日

海をヒッチハイクするコバンザメに新発見

コバンザメ(remora)の頭には吸盤(sucker)があり、それを使って様々な生物にくっついて海中を移動します。

このほど吸盤を解剖し、その組織を電子顕微鏡とCTスキャンにより詳しく調べたところ、プッシュボタン様の構造が発見されたのです。これはメカノレセプターの一種で、これまで知られていなかった触覚を司っているのではないか、と研究者らは考えています。


文献を調べても、同じ様な構造は単孔類(monotremes)のカモノハシ(platypus)とハリモグラ(echidnas)にしか見つからなかったそうです。


さらに詳しくは論文(アブストラクト)をご覧ください。


さて、それではここでクイズに挑戦。


問1)このポッドキャストの中で比較生体力学の研究者がコバンザメがくっつく相手として述べている動物は次のうちどれ?(複数回答)


サメ  クジラ  イルカ   カメ   タコ   イカ  イソギンチャク

スキューバダイバー(つまり人間) コバンザメ

問2)さて、彼女はコバンザメはくっつくことでどんな利益を得ていると言っていますか?(彼女が述べたことだけを複数回答してください)


a. 捕食(predation)を避けることができる

b. くっついた相手に寄生している生物(parasites)を餌にすることができる
c. 同じ個体に複数のコバンザメがくっつけば、オスとメスの出会いがあるかもしれない
d. エネルギーを使わずに遠くまで移動できる

60-Second Scienceを聞く


解答はこの下に





















問1)サメ、クジラ、イルカ、カメ、スキューバダイバー、コバンザメ

問2)d以外の全て。dの内容も正しいのですが、彼女はポッドキャストの中で触れていませんでした。