地球はほぼ円軌道を描いて太陽の周りを回っています.
しかし,長年惑星学者たちは,この軌道は40万5000年ごとに木星と金星の影響を受け,少し潰れた楕円軌道になり,また円軌道にもどっているはずだとの仮説を立てていました.
軌道が楕円になると,太陽と地球との距離は季節ごとにより変動が大きくなるので,円軌道を回っている時よりも季節間の差が激しくなるはずです.
これを確かめるために,季節変動がよく表れている堆積岩をアメリカ東海岸から採取し,一方アリゾナからはいつの時代のものかを知ることのできる岩を採取しました.(これは微量のウランを含有するジルコンに埋め込まれているので,ウラン含量から逆算しその年代を知ることができるのです.)
さて,磁気情報を用いてこれらの岩石を並べ,アリゾナの岩から年代を割り出すと,東海岸の岩に刻まれていた大昔の洪水や干ばつのタイムラインを得ることができました.
数学的シミュレーションの正しさが裏付けられ,木星と金星は実際に地球の軌道を周期的にゆがめていることがわかったのです.
地質学者はこの発見により地球上の生命史の新しい解釈が可能になると考えています.この正確な時計を使えば,種形成(speciation)や様々な生命体の分散(dispersal)などのイベント間の関連を見出すことができるでしょう.
では,現在の私たちの生活にこれがどのように影響するか?
あまり影響はないと言っても構わないでしょう.現在大気中に私たちが放出しているCO2の量などの方がはるかに差し迫った問題なのです.
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