MRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌)についてはご存知の方も多いことでしょう.
健康な人には何でもない菌ですが,免疫力が衰えた人には肺炎,敗血症を引き起こし,さらには死をもたらすこともある,代表的な院内感染の原因菌です.
ところで,この菌が「メシチリン耐性」を得たのは,メシチリンが広く使用されるようになったから,とこれまでは考えられていたのですが,それが覆される研究が発表されました.
何と,MRSAはメシチリンが世に出る前から存在していたというのです.
論文を読む
スコットランド,セント・アンドルーズ大学の分子微生物学者,マシュー・ホールデンらは冷凍保存された1960年代〜80年代のMRSA菌株のゲノムを分析し,この結果を得ました.
ゲノムを分析し,その進化の歴史を辿るこの手法を彼らは「ゲノム考古学(genomic archaeology)」と呼んでいます.
抗生物質と耐性菌との戦いは,ここに来て新たな局面を迎えたのかもしれません.
60-Second Scienceのポッドキャストを聞く
0 件のコメント:
コメントを投稿