2017年7月30日日曜日

ピーコックベゴニアが美しい青い葉を持っているわけ

日陰の植物はその青い(玉虫色に光る)葉を利用して日光が極めて少ない環境に適応していることがわかりました.
マレーシアの熱帯雨林に育つ「Begonia pavonina」(ピーコックベゴニア)は表面に存在するイリドプラストと呼ばれる葉緑体のために,その葉が美しい青色に輝いているベゴニアです.
イリドプラストは通常の葉緑体とは異なり,極めて規則的な内部構造をしています.通常,葉緑体が光合成をするとき,太陽の光はまずチラコイド膜に吸収されますが,ピーコックベゴニアでは3~4個のチラコイドの積み重ね(フォトニック結晶類似の構造)が波長430~560 nmの光を強く反射するため、葉が青色の光沢を放っているのです.

このことは,森の中でベゴニアまで到達する光(緑〜赤色,つまり波長が約500~700 nm)の吸収効率が高まることを意味します.さらに,イリドプラストのフォトニック構造は,少ない日光からの光合成の効率を5~10%高めているのです.

この研究はNature Plants誌に発表されたもので,英語の要約と日本語の翻訳文がインターネットで公開されています.
原著論文のAbstractは下記のサイトから.

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