2018年4月29日日曜日

今日も再びミツバチの話題です

近年ミツバチの数が世界的に減少していることが話題になっていますが,あなたもミツバチのために一肌脱ぐことができるのです.それもとっても簡単なやり方で...

60-Second Scienceを聞く


それではここでクイズに挑戦.

ポッドキャストで述べているミツバチのためにあなたができること,は次のどれ?

1)庭に花壇を作る.庭がないマンション住まいの人はベランダにプランター花壇を作る.
2)庭の芝刈りの回数を2週間に1度にする.
3)これまで以上にハチミツを買う.























解答)2)の芝刈りの回数を2週間に1度にするというのが正解.
毎週芝生を刈ると花が育たない.けれど芝刈りを3週間放置すると,芝生が伸びすぎてミツバチにとっては迷惑,なので2週間に1度の芝刈りがミツバチにとってはベストという話でしたね.

ちなみに1)と3)に関してはポッドキャストでは何も触れていませんでした.

2018年4月23日月曜日

マルハナバチにIDタグをつける

マルハナバチ(bumble bee)にIDタグをつけ,その行動を追跡する研究が行われています.

マルハナバチ1匹,1匹にそれぞれ異なる番号のIDタグがつけられます.

これらのタグはコンピュータで読み取られ,ハチの行動が追跡されます.

どのハチがどの仕事をしているのかがわかります.

蜜集め,幼虫の世話,巣のパトロール

蜜集めのハチがいなくなり,コロニーの秩序が乱れると,

他の仕事をしていた働きバチがやってきてその穴を埋めるのです

こうしてコロニーは柔軟に,変化に対応していくのです

ビデオを見る

2018年4月22日日曜日

4月20日はマリファナの日

アメリカでは4月20日はマリファナの日なのだそうです.
その日の4時20分にマリファナを一服するのが伝統なのだとか.
そこで研究者達は考えました.

その結果交通事故による死亡が増えるのではないだろうか?

そこで彼らは1992年〜2016年の4月20日の4:20p.m.以降真夜中までの死亡事故の数を調べ,その前週と翌週の同じ曜日の同じ時間帯の事故数と調べました.

その結果,4月20日の4:20以降の死亡事故の数は前週と翌週の同じ曜日の同じ時間の数よりも12%増加していたのです.

さらに運転手の年齢に関して詳しく見てみると,20歳以下の運転手の場合,さらに高い30%の増加が見られたのでした.


60-Second Scienceを聞く


2018年4月19日木曜日

オオカバマダラ(蝶)のためにアメリカ原産のトウワタを植えましょう.

オオカバマダラ(Monarch butterfly)の幼虫はトウワタ(milkweed)を食べて育ちます.毒を持つトウワタを食べその毒を体内に溜め込むことで,幼虫は,鳥などに捕食されにくくなるのです.

ところで,合衆国原産のトウワタの他に,熱帯原産のトウワタも存在し,現在合衆国の南部ではこれらが多く見られます.ところが,この熱帯原産のトウワタは気温が上がるにつれ,より多くの毒を生産するため,オオカバマダラの幼虫もその毒にやられてしまうのです.

研究者らは熱帯原産のトウワタと合衆国原産のトウワタの二つを使い,オオカバマダラの幼虫を育て,現在の気温とより高い気温(2080年に合衆国南部で予測される気温)による効果を調べました.

その結果わかったのは 合衆国原産のトウワタなら,オオカバマダラは現在の気温でも,より高い気温でもちゃんと育ちますが,熱帯原産のトウワタだと,気温が高くなると4/5が毒のために死んでしまうということでした.

熱帯産のトウワタの方が綺麗なため好まれているのかもしれませんが,ここはひとつオオカバマダラのためにアメリカ原産のトウワタに植え替えることも考えるべきかもしれません.

まだ間に合いますから.

60-Second Scienceを聞く 


2018年4月17日火曜日

バナナの色変化を化学する

バナナは熟す前は緑,熟すと黄色,それから茶色い斑点が現れ,全体が焦げ茶色になったらもう食べられません.

この色変化をアニメーションで解説したビデオをScientific Americanが製作しました.

ビデオを見る

それではここでクイズです.

1)バナナが緑から黄色に変わるのはなぜ?

 a) 緑色のクロロフィルが分解することにより,もともと存在していた(けれど緑色に隠れていた)黄色が浮かび上がる.
 b) 秋に木の葉が黄色く色づくように,バナナも熟すと黄色の色素を生じる.

2)エチレンが誘導し,バナナの中に生じる酵素は次のどれ?

 a) アミラーゼ
 b) ペクチナーゼ
 c) ラクターゼ
 d) リパーゼ
 e) バナナーゼ

3)バナナが熟すにつれて現れる茶色い斑点の正体は?

 a) カーボン 
 b) メラニン
 c) セロトニン





















解答)

1)a)「緑色のクロロフィルが分解することにより,もともと存在していた(けれど緑色に隠れていた)黄色が浮かび上がる」

2)a) アミラーゼ(バナナを甘くする)と b) ペクチナーゼ(バナナを柔らかくする)

3)b) メラニン



2018年4月16日月曜日

蚊の唾液から薬が生まれる?

刺されるとかゆいだけでなく,マラリアやデング熱などを媒介する蚊は私たちにとってやっかいな存在.

蚊なんて存在しなければ良いのに,と思う人は私だけではないのでは?

さて,そんな嫌われ者の蚊から医薬品が生まれるかもしれない,というのが今日のテーマ.

私たちの血を効率良く吸い上げるために,蚊は血液を流れやすくする成分(タンパク質)を含む唾液を私たちに注入します.

研究者たちはこのタンパク質から新しい血液薄め剤を作り出そうと長年研究を重ねていたのですが,唾液から取り出すと,このタンパク質の作用は弱くなるのが問題でした.

今回,タンパク質を硫酸化することにより,効力が100倍増強できることがマウスを使った実験によりわかりました.

さらにこれはヒルジン(hirudin)ー臨床ですでに使用されているヒルの唾液から得られる血液を薄める作用を持つ分子ーよりも強力なのだそうです.

SCIENCEの記事を読む

2018年4月15日日曜日

アカヤマアリはいかにして奴隷狩りをするようになったのか?

毎年夏になるとアカヤマアリ(Formica sanguinea)はハヤシクロヤマアリ(F. fusca)などの巣に侵入し,彼らの女王アリを殺し,自分たちの奴隷にするために蛹を盗んでくるのです.

新しい巣で生まれたハヤシクロヤマアリたちは自分たちが拐われてきたことも,そこがアカヤマアリの巣であることにも気づかず,せっせと餌を集め,巣を守ります.

どのような進化の結果,この奴隷狩りが生まれたのかは長い間の謎でしたが,このほど新しい事実が明らかになりました.

15種のヤマアリ属のアリ(Formica)の遺伝情報から,系統樹を作り上げたところ,奴隷狩りをするアリ,奴隷を持たないアリ,そして寄生をするアリの3本の太い枝が見られたのです.寄生をするアリというのは,他のアリの巣に卵を産み,育ててもらう「托卵」を行うアリのことです.

枝の順番が進化の過程を示します.系統樹をたどり,すべてのヤマアリ属の祖先に行き着くと,彼らは奴隷を持ちませんでした.

やがて托卵をするアリが現れ,そこから枝分かれして,奴隷狩りをするアリが現れたのです.托卵は奴隷狩りの前適応(preadaptation)だったのではないかと研究者は考えています.


2018年4月14日土曜日

新学期ですね.化学英語を勉強したい方へ

このブログを読んでくださっている皆さんは 高校生? 大学生? 社会人? 主婦?それとも現役を退職された方?

ときは春.

何か新しいことを始めたくなる気分ではありませんか?

今まで英語は苦手だったけど,過去を一旦リセットして新しく科学を切り口に英語力を高めたい人,

大学で始めて化学英語を学ぶことになった学部生,

院試のために化学英語を学ぶ必要に迫られた4年生,

始めての論文を英語で書くにあたり,化学英語の知識や文法を復習したい大学院生,

そして英語を通じて科学の最先端に触れる楽しみに興味があるすべての方,の

お役に立つように願って

昨年秋に「化学英語30講 リーディング・文法・リスニング」を出しました.

化学英語30講のページ

海外からご注文くださる場合はアマゾンのサイトで定価2592円の新本をご注文の上,配送先を海外のご住所になさるのが便利だと思います.

アマゾンのサイト(日本国外の方)


本ブログScientific Englishでは最先端の科学のニュース(ポッドキャスト/記事)をご紹介しています.

下記の2つのブログ共々 今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます.


周期表の元素を英語で学ぶブログ
Chemical Elements


化学英語特有の文法をウェブで解説
授業


2018年4月11日水曜日

セミクジラは口を開く前に思考しているのではないか,という報告(音声)

赤ちゃんの喃語の時代から老年に至るまで私たちの発声は年齢に応じてどんどん変わっていきますが,動物でも同じことが発見されました.

絶滅の危機に瀕したセミクジラ(right whale)の鳴き声を分析したところ,成長するにつれて鳴き声はより長く,明瞭に,かつ構造的に複雑になっていくことが明らかになったのです.

さらにわかったことはある刺激に対して彼らは同じ応答をしないことでした.つまり鳴き声は単なる反射(reflex),完全に本能的な反応ではなく,そこには思考が働いているのではないかと考えられるのです.

原著論文を読む

さて,それではここで,久しぶりに数字のクイズです.
60−Second Scienceのポッドキャストを聞いてお答えください.(解答はこの下に)

1)研究者が集めたデータ(クジラの声の録音)は何年分でしたか?
 a)7年,b)17年,c)70年

2)研究者は何頭のクジラのデータを集めましたか?
 a)9頭, b)40頭, c)49頭

3)対象となったクジラの年齢は?
 a) 0歳〜15歳, b)1か月〜37歳, c)1歳〜100歳

 60-Second Scienceを聞く


























解答)1)はb)の17年. 2)はc)の49頭.3)はb)の1か月〜37歳でした.

2018年4月10日火曜日

ニホンザルがお風呂を好きなわけ(LIVESCIENCEの記事から)

私たち日本人にとって,露天風呂は1年365日,春夏秋冬,いつでも素敵なものですが,ニホンザルにとっても,寒い冬(たとえ雪が舞っていても,いえむしろだからこそ?)露天風呂に浸かるのは至福の時のようです.
 写真を見る

ニホンザルはなぜお風呂が好きなのか?については,これまで様々な推測がなされてきましたが,このほどその理由が明らかになりました.

それは...寒いから.

というとあまりにも当たり前に聞こえるかもしれませんが,もう一つ.お風呂に入ることで生物学的ストレスが緩和されていることも明らかになったのです.

これは4月3日にPrimates誌に報告された京大の研究から明らかになったことで,ニホンザル(メス)がお風呂に入る回数は4〜6月の3か月間よりも10〜12月の3か月間の方が多いこと,またお風呂に入った週は糞の中に含まれるグルココルチコイド(ストレスの指標となる代謝物)の量が減っていることが判明しました.

LIVESCIENCEの記事を読む

2018年4月9日月曜日

オランウータンは痛み止めに天然の薬草を使う.

オランウータンは痛みや炎症を和らげるために天然の植物を薬として使っていることがわかりました.

ボルネオ・ネイチャー・ファウンデーションの行動生態学者の研究で明らかになったことです.

この植物は現地の人々も痛み止めに使っているドラセナ・キャントレー(Dracaena cantleyi).オランウータンたちはこれを噛み泡立ててから毛皮に擦り付けて,40分ほどマッサージをしていたのです.

ドラセナ・キャントレーの持つ化学的な性質を調べるため,人工的にサイトカイン(炎症他不快な症状を引き起こす免疫応答)を産生するように調節したヒトの培養細胞に,この植物の抽出物を加えたところ,サイトカインの産生量が抑えられることがわかりました.

SCIENTIFIC AMERICANの記事を読む

2018年4月8日日曜日

蜘蛛は風に乗って...(ビデオ)

蜘蛛は糸を使って空を飛ぶ!

暖かく,秒速3m以下の穏やかな風,という条件が揃うと,蜘蛛は60本近くの糸を吐き,それがまるで扇のように広がり,蜘蛛を遠くへと運んでいきます.

バルーニング(balooning)と呼ばれるこの行動は1600年にすでに知られていたのですが,最近まであまり研究が進んでいませんでした.

このほどベルリン工科大学の研究者らはカニグモ(crab spider) を使って実験し,BioRxivに研究を発表しました.

SCIENCEのビデオを見る

2018年4月7日土曜日

海が吸収する二酸化炭素の量を少しだけ増やす方法として,こんなことが発見されました...

海に岩石を撒く.それだけで大気中の二酸化炭素の量が少しだけ余分に減るのです.

Chemistry Worldの見出しを読む(*)

鉄分をたっぷり含んだ岩石(具体的にはマグネシウムと鉄)を細かく砕き,海に撒くと,海洋が空気中の炭素をさらに多く取り込むことが地球科学者の研究によって分かりました.

(*)上記のリンク先では簡単な見出しと画像が見られます.Chemistry Worldを購読すると記事全文が読めますが,私は購読していないので,読めるのはここまで.


さて,海が二酸化炭素を吸収する仕組みについては,下記のリンク先に画像付きの解説が載っています.

二酸化炭素を吸収する海の仕組み

さらに噛み砕いたわかりやすい説明

2018年4月6日金曜日

ネアンデルタール人の突き出た顔は空気をしっかり摂り入れるための進化(音声)

ネアンデルタール人の顔つきの特徴は眉が濃く,鼻が大きく,上顎が前に突き出ていることです.その理由として,氷河期の寒い空気に耐えるため,咀嚼力を強化するため,など様々な仮説が立てられていました.

このほどコンピュータシュミレーションにより,なぜ顔の中央が突き出るような進化が起こったのか,その利点は何なのかが明らかになりました.

ネアンデルタール人,さらに初期のホモ・ハイデルベルゲンシス,そして時代が下った新しい人類の頭蓋のモデルを使い,硬いものを噛んだ時の負荷にどう反応するかデジタルな衝突試験を行ったところ,前に突き出ているネアンデルタール人の顎は特に咀嚼に有利には働いていませんでした.

次に鼻腔の中を通り抜ける空気について調べたところ.面白いことがわかりました.
ネアンデルタール人の構造はホモ・ハイデルベルゲンシスよりも冷たい空気を温め,湿り気を与える上で有利に働いていたのです.

ところで,ネアンデルタール人の鼻が最も優れているのは,大量の空気を吸って肺に取り入れ,吐き出すことができる能力でした.

一日中マストドンを追いかける生活をしていた彼らにとっては大きな強み!となったわけですね.

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2018年4月5日木曜日

光合成を活性化させ畑の収穫を増やせ!(音声)

ご存知の通り光合成は光エネルギーを使って水と二酸化炭素からブドウ糖を作り出すプロセスで,地上のすべての生命を支えてくれている重要な化学反応です.

ところで,光合成は実はあまり効率が良くないのです.
そして,それはRuBisCoと呼ばれる酵素に原因があるのです.

さてそれでは久しぶりにクイズです.

ロンドンのインペリアル・カレッジの生物化学者がRuBisCoの効率を引き上げ(そして最終的には光合成による作物の収穫量を増やす)ために考えたことは次のどれ?

1)RubisCo周辺の酸素の濃度を引き上げる
2)RubisCo周辺の二酸化炭素の濃度を引き上げる
3)RubisCo周辺の水分量を増加させる

60-Second Scienceを聞く





















解答)2の RubisCo周囲の二酸化炭素の濃度を引き上げる が正解.
現在はこの二酸化炭素を捕集/放出できる物質の合成に成功している段階ですが,今後さらに研究を進め,将来はこれをちょうど肥料のように,畑にまき,植物中のRuBisCO周囲の二酸化炭素濃度を引き上げ,畑の収穫物を増やしたい,と化学者は考えているのですね.

2018年4月4日水曜日

マリファナが合法化するとオピオイド薬の使用が減るという事実

米国ではマリファナが合法化すると,その州のオピオイド(モルヒネ様の作用を示す合成麻酔薬/強力な鎮静剤)の使用がそれ以前よりも大きく減ることがわかりました.


実際にオピオイドがマリファナに取って代わられているのか,また患者と医師のどちらがこれを推進しているのか,についてはわかっていません.

アヘン剤の乱用が多くの死を招いている現在,事実をはっきりと見つめて政策を立てる必要があります.行政は疼痛コントロールのオプションとして,薬局ベースのマリファナの使用について考えるべきだと論文の著者は述べています.

ちなみに,日本ではマリファナは違法ですが,アメリカの最近の世論調査では61% が合法化に賛成しており,現在のところ9州(とコロンビア特別区)がマリファナを治療以外の目的でも合法とし,20を超える州が治療用途に限りマリファナを合法としているそうです.

SCIENTIFIC AMERICANの記事を読む

2018年4月3日火曜日

米国で1万3千年前の足跡が発見された(音声)

13000年前のヒトの足跡がこのほどアメリカのブリティッシュ・コロンビアの海岸で発見されました.これはこれまでに北アメリカで発見されたものとしては一番古いものです.

最後の氷河期の間,北アメリカの半分は氷に覆われていました。
しかしカナダの太平洋側の一部では植物や動物そして人間が生きることができたのです。

考古学者らはこれまでに12000年から13000年前と思われる石器や洞窟跡を発見しており, マストドンのあばら骨(その中には骨でできた武器が入っていた)なども見つかっていました.

このたび発見されて大きな話題となっているのは,粘土質の土壌の上に残された人間の足跡でした.つま先,土踏まず,かかとなど,全部で29の足跡から当時の人々は裸足であったことが想像されます.またこれらの足跡は子供一人と大人二人のものだろうということです.

60-Second Scienceを聞く

2018年4月2日月曜日

ビール腹だと思ったら....(びっくり画像!)

今日ご紹介するLIVESCIENCEのThe Best Photos of the Weekはとてもショッキング.

特に「最近太ったかな?」なんて思っているビール好きの方にとっては...

というのもニュージャージーに住む男性が「ビール腹」だと思っていたものはなんと13.6kgの腫瘍だったのです.

2015年のこと,14kgも体重が減ったのにお腹の脂肪に変化がなかったこの男性は何かおかしいと思い病院へ行きました.

CTスキャンをすると脂肪肉腫(liposarcoma)と呼ばれる珍しいタイプの腫瘍であることが判明.

4時間がかりでこの脂肪肉腫を取り出したお医者さんは今まで見た中で最大のものと語ったそうです.

LIVESCIENCEの記事を読む(画像付き)

術前/術後の写真を見ると,この男性,すごくスタイルが良くなっていて,それはちょっぴりうらやましい....(@@...)

2018年4月1日日曜日

非常に珍しい(悲しい)考古学の発見...エイプリルフールではありません

このほどイーモラ(イタリア)の地下の石墓から発掘された1300年前の女性の遺骨は人々を驚かせました.

彼女の両足の間には胎児の遺骨があり,そして彼女の頭蓋には穴が開いていたのです.

母親の骨盤の下に見られる胎児の遺骨はおそらく「棺内分娩」で母親の死後に生まれたものと思われます.棺内分娩とは妊婦の死後に遺体から発生するガスの圧力で胎児の遺体が体外に押し出される現象です.

考古学の発掘では非常に珍しい事例ですが,さらに珍しいのはこの母親の頭蓋に奇妙な穴が開いていたことでした.

調査により,この穴は穿頭術(trepanation)と呼ばれる原始的な脳外科の技法であったことがわかりました.頭蓋内圧を低下させ,高血圧などの症状を和らげるために行われたのです.

残念ながら患者は術後1週間あまりで死亡し,埋葬後胎児(すでに死亡していた)が母親の胎内から押し出される,という珍しい事例となりました.

LIVESCIENCEの記事を読む