2018年3月8日木曜日

反響定位のエキスパートを使った実験のお話

反響定位(echolocation)という言葉をご存知ですか?

ウィキペディアには「動物が自分が発した音が何かにぶつかって返ってきたもの(反響)を受信し,その方向と遅れによってぶつかってきたものの位置を知ること」とあります.

暗闇でコウモリが障害物を避けて飛行できるのは,エコロケーションを使っているから,ということはよく知られていますが,視覚障害者の中にも反響定位を行う人(echolocator)が現れてきています.彼らは手を叩いたり,指を鳴らしたり,舌打ちによるクリック音を使うのです.

ところで,周りが暗くなり物が見えにくくなると私たちが照明を明るくするのと同様,コウモリも反響定位で物の所在がわかりにくくなると,発する音の強度を強めるのだそうです.

さて,今回研究者らは,エキスパートのエコロケーター8人の協力を得て,次のような実験をしました.

各自の頭から約1m離れたところに置いた物体(大きさはディナー用の皿程度)を反響定位(クリック)だけを使って知ることができるのか?というものです.

その結果,物体が顔の正面にあるのか,90度離れたところにあるのか,あるいは頭の真後ろにあるのか,によって正答率には大きな差があることがわかりました.また彼らはコウモリと同様に,所在がわかりにくくなるとクリック音の強さを強めることが確認されました.

それではここで質問です.

正答率がほぼ80%だったのは,物体がどの位置にあった時でしょうか?

1)顔の正面
2)顔の横(90度)
3)頭の斜め後ろ
4)頭の真後ろ

60-Second Scienceを聞く




















解答)3)の斜め後ろ.
   ちなみに顔の正面や横にある時はほぼ100%の正答率でしたが,頭の真後ろにある場合はとても難しく,紛れ当たりより多少マシな程度だったとのことです.



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