眠りは脳を休ませ,記憶を処理し,細胞から有害物質を取り除き,明日に備えるためにある,と私たちは考えています.
では,脳を持たないクラゲも眠るのでしょうか?
研究対象として選ばれたのはサカサクラゲ(upside-down jellyfish).浅い海の底で触手を上に向けてあまり動かずに生活している彼らは,他のクラゲとは異なり,体内に共生する藻から栄養分をもらっています.そして1秒に1回,ゆっくりと扇ぐようにかさをすぼめたり開いたりしながら,体の上に水の流れを作って餌のプランクトンを取り込み,老廃物を捨てているのです.
さて,カルフォルニア工科大学の大学院生たちは特製の水槽を作り,およそ1週間の間カメラで23匹のサカサクラゲ(カシオペア)の様子を観察しました.
すると昼間の間1秒に1回(つまり1分に60回)かさをすぼめているクラゲは,夜になるとその回数が1分に39回と減少することがわかりました.
これが「眠り」なのかを確かめるため,彼らはクラゲをタンクの底から水面まで持ち上げてから落としてみたのです.
すると夜のクラゲの応答は遅く,しばらくしてようやく目が覚めるといった風でしたが,その30秒後にまた持ち上げると,今度はすぐに泳いで底まで戻ったのです.
次の疑問は,人間と同じように,クラゲにも眠りが必要なのか?でした.
そこで,夜クラゲを眠らせないために6時間の間,あるいは12時間の間,20分ごとに水流を当ててみました.
すると翌朝のクラゲは,特に12時間睡眠を邪魔されたクラゲは,いつもより活動的ではなくなっていました.ちょうど睡眠時間が足りない人間の私たちのように.しかし普通に眠った翌日には完全に調子が回復したのです.
最後のテストはメラトニン(薬局で売っている睡眠薬)を与えるというものでした.クラゲは一発で眠ってしまったように見えました.
結論として,クラゲも「人間と同じように」眠るのだ,ということがわかったということです.
Scienceのビデオを見る
0 件のコメント:
コメントを投稿