新しく提案された触媒により,現在アンモニア合成に大活躍しているハーバー・ボッシュ法が時代遅れになる可能性が出てきました.
ハーバー・ボッシュ法は大気中の窒素分子を還元し,アンモニアを合成するプロセスで,私たちは現在このアンモニアを使って,肥料,薬品,そのほか産業に必要な重要化合物を製造しています.
このプロセスの欠点は400℃以上の高温で行うため大量の電力が必要なこと.毎年全世界の電力の1%がこのために消費されているのです.
さて,このほど行われたコンピュータ・シミュレーションによれば,金とモリブデンを含有する新規の触媒が可視光からのエネルギーを利用し,室温で窒素原子間の三重結合を切断できるとの予測が得られました.
利用されているのは表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)という現象.
光子によって励起されたナノ粒子上の原子価電子が一体となって振動し,この励起エネルギーにより,窒素解離反応の高い活性化エネルギーのバリヤーを乗り越えて,窒素分子が分割できるのです.
この触媒では,金のナノ粒子が可視光を吸収し,表面プラズモン共鳴を発生させ,表面にドープしたモリブデン粒子が窒素分子をとらえ,分割するのです.
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