世界で一番古い花ってどんな形だったのでしょう?
ウキクサ(duckweed)からショクダイオオコンニャク(corpse flower)まで,今日存在する花々の信じられないほどの多様性を見れば,たった1種類の花からこれら全てが進化してきたと想像することは困難です.
かのダーウィンでさえ,顕花植物がなぜ進化の初期に爆発的な多様性を示したのかという問いには悩まされたのです.
さて,昔の生物について知るには化石の研究をするのが一番確かな方法です.しかし,
花の化石を手に入れるのは難しい.
現在残っている(保存されている)最古の花は1億3000万年前のものですが,それより少なくとも1000万年前にすでに花の祖先は存在していたと考えられています.
ところで,花の祖先を辿るもう一つの方法は,現代の花の形状をよく調べ,系統樹を遡ること.
eFLOWER project は論文で発表された雌しべや雄しべ,花びらのレイアウトなど,花の構造に関する情報を集め,最大のデータベースを作り上げるプロジェクトです.
ここには,有名な進化生物学者ジャン=バティスト・ラマルクが1783年に発表したものを含め,すでに13000のデータポイントが含まれています.
これらのデータをDNAに基づく系統樹や化石の情報と組み合わせ,花が時を経てどのように進化してきたかをシミュレーションした結果,最古の花のイメージとして浮かび上がったのが次の画像です.
最古の花のイメージを見る
花粉を与える器官と受け取る器官が一つの花の中に共存しており,また花びらの数も配置も現代の花とあまり変わりませんが,これと全く同じ花は現在存在していません.
ところで,学者たちを驚かせたのは,花びらやその他の器官が,螺旋状ではなく,3つづつ同心円状に配置されていることでした.
(本研究はNature Communicationsに発表されました)
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現生の被子植物で最も原始的な植物と考えられているアムボレラ(Amborella)では花びらは螺旋状に配置されており,多くの研究者は最古の花も同様に螺旋状の配置を予想していたのです.
ところで,パリ11大学の進化生物学者はこの植物をカモノハシなどを含む古代哺乳動物(カモノハシは,オーストラリアの湖などに生息している卵生の奇妙な動物)に例えています.カモノハシのように,古生物の面影を残しつつも,その後長い時間を経て環境に進化してきたというわけです.
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