2017年8月29日火曜日

パキスタンでは飲料水中のヒ素の脅威にさらされる人口が6千万人登る

これは,史上最大の集団中毒(mass poisoning)とも呼ばれています.1970年代にバングラディッシュをはじめとするインド亜大陸の各地で井戸が掘られましたが,この地下水は周りの岩石や土壌から溶け出したヒ素(arsenic)に汚染されていたのです.

高濃度のヒ素を摂取すると,皮膚損傷,癌,循環器疾患,神経発達の遅れなどが生じます.

この問題が明らかになったのは1990年代のことでした.世界保健機関(WHO)はバングラデシュの人口のうち3千5百万人〜7千7百万人の飲料水のヒ素濃度が危険である可能性があると警告しました.2014年の予測では世界中で2億人が推奨レベル(1Lあたり10µgまで)を超えるヒ素にさらされています.多くはバングラデシュ,インド,ベトナムそしてネパールに住む人々です.

このたびヒ素のリスクを示す地図が製作されました.パキスタンのどの地区の地下水が汚染の可能性が高いかがカラーで一目でわかります.タイトルは「Don't drink the water」

Science Advancesへの報告によれば,WHOのガイドラインの5倍,1Lあたり50µg以上を含む水を使っていると思われる人々の数は5千万人〜6千万人です.


まず住民の使用している井戸に高濃度のヒ素が含まれているかどうかを一つ一つ調べなくてはいけません.それがわかれば,その井戸の使用をやめてもっと安全な井戸を使用したり,あるいは井戸水の処理を行ってヒ素を除去することもできます.

ポリシーメーカーや援助機関にパキスタンのヒ素事情に目を向けてもらうために,このような地図はとても有効なのです.




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