研究所の中で飼われているスズメダイ(damselfish)の子供たちは,オーストラリアの珊瑚礁に放されると,捕食者(predator)に出会うことになります.そこで,研究者らは,彼らに捕食者について教えることにしました.
やり方はこうです.
スズメダイの子供たちの水槽に捕食者の匂いと怪我をしたスズメダイが発した警報合図を混ぜた海水を加えます.
「いいか,これが捕食者の匂いだ.友達が死んだ.次はお前かもしれない」というメッセージを伝えるためです.
さらに匂いだけでなく,ビニール袋に入れた捕食者もタンクの中におろしてスズメダイたちに見せたのです「これがお前たちの敵だよ」と.
さて重要なのはここからなのですが,このトレーニングをするときに2つの条件を付けました.
1)のどかな珊瑚礁の音を聞かせる
2)うるさいボートのエンジン音を加えた珊瑚礁の音を聞かせる
その結果,1)で学習したスズメダイたちは捕食者を学び,のちに自然の海に放されたときに生き延びる確率が高まった(2/3は生き延びた)のですが,2)のボートの雑音にさらされながら学習したスズメダイたちの生存率は20%,トレーニングを全く受けなかった魚たちと同じだったのです.
ボートの音がストレスとなって魚たちはちゃんと学習できなくなったことが判明したのです.
一つの救いは,音の公害(noise pollution)は地球温暖化などと違って,私たちの手でコントロールができることですね.
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さて,最後のクリストファーの言葉あそび,お分かりになりましたか?
クリストファーは「So that young fish can learn their lessons. Alone or in schools.」と言っていました.
その意味は「(音の公害をコントロールすることによって)魚の子供たちはしっかり学べる.一人で,あるいはみんなと一緒に.」ということですが,もちろん魚には学校はないので,ここで使われているschoolは魚の群れという意味になります.でも,学校という意味を持つschoolを使ったところが,言葉あそびになっていて面白いですね.
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