2017年11月29日水曜日

大量の反物質が稲妻で生まれている...

稲妻が大量に反物質(antimatter)を作り出している.

京都大学の榎戸輝揚特定准教授らは世界で初めて,雷が天然の粒子加速器として働いていることを明らかにしました.

雷の大きなエネルギーは大気中の窒素や酸素を励起し,γ線とぶつかった分子から中性子が叩き出されます.つまり核分裂が起こるのです.

さて14個の中性子を持つ窒素の原子核は安定です.しかしそこから中性子が1つ抜けると,不安定な放射性同位元素である13Nが生まれます.

同様に中性子16個の酸素(16O)は安定ですが,15Oはそれほどでもありません.

13Nや15Oは崩壊を始め,ニュートリノや陽電子(電子の反物質)を放出します.陽電子は大気中の電子と衝突し,特徴的なエネルギー(0.511のメガエレクトロンボルトのγ線)を放出して消滅します.

今回榎戸らが検出したのはまさにこのγ線でした.そのことによって,雷が大空を漂う,巨大な天然の粒子加速器であることが示されたのでした.


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