宇宙線を利用した測定により,ギザの大ピラミッドの中にこれまで知られていなかった巨大な空間が存在することがわかりました.
ミュー粒子(ミューオン)の利用により,科学者たちは花崗岩の壁で囲まれた大回廊の真上に30m超の空間を発見したのです.
今回の発見のユニークなところは,宇宙線が地球の上空の大気と相互作用するときに生じ,地上に常にシャワーのように降り注いでいるミュー粒子を用いたこと.
ミュー粒子を使うと物体の密度がわかるので,もしその物体の内部に空隙があるなら,物体を通り抜けるミュー粒子の数は(空隙がないとして計算される)予想値を上回る.つまり,計算値よりたくさんのミュー粒子が観測されると,内部には空間がある,ということなのです.
今回の測定では,ピラミッド内部に設置した,日本の名古屋大学が開発した特製フィルム(第1の手段)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)開発のホドスコープ(第2の手段),そしてピラミッドの壁の外に設置したフランスの原子力代替エネルギー庁のアルゴンガスをベースとしたミューオン検出法(第3の手段)が使用されました.
これらの3つの方法にはそれぞれ長所と短所があるのですが,全ての方法が,空間の存在を示しました.しかし空間の大きさや形などの詳細はまだわかっていません.
エジプト学者からは,今回発見されたスペースには何ら重要な意味はない,という意見も出ています.ピラミッドには建設上の理由から多くの空隙が残っており,今回発見されたスペースもその一つに過ぎないというのです.
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