2017年11月8日水曜日

デング熱に2度目に感染した時に症状が激化する原因は抗体の濃度だった

デング熱については長年熱く議論されてきたことがあります.

デング熱に罹患したことで生じる抗体のせいで,再罹患すると症状がより重症になる,抗体依存性感染増強(ADE =antibody-dependent enhancement)という理論がそれです.

しかし,このADEについては試験管内では起こるが,生体内では起こらない現象であると考える研究者もおり,長い間議論が重ねられていました.

このほどアメリカとニカラグアの科学者たちがサイエンス誌に発表した研究によると,最初の感染で生じた抗体がある一定のレベルにまで低下した時に新たな感染が起こると,抗体依存性感染増強(ADE =antibody-dependent enhancement)が生じる得るとのこと.

12年間にわたり2〜4歳までの6700人の子供たちの血液を検査し,発熱を伴う病気にかかる子がいれば,医学的評価を行うという大規模な調査の結果,抗体の濃度が高い時,抗体は体を守る働きをするが,その濃度が一定値よりも低くなると,再罹患により重症のデング熱を発症するリスクが,8倍も高まるということがわかったのです.

したがってデング熱のワクチンは注意深く使用しなくてはなりません.昨年発表された研究では,すでにデング熱にかかった子供にワクチンを打つのは良いが,まだ一度もかかったことのない子供にはワクチンを打つべきではないという警告がなされています.

Scientific Americanの記事を読む


0 件のコメント:

コメントを投稿