2017年12月14日木曜日

メタン吸蔵材料が大きく飛躍したのは博士課程の学生のミステイクのおかげ!

ガソリンの代用として天然ガス(メタン)を使用する車が登場しているものの,一向に普及しない理由のひとつは,燃料タンクとして高価で大きな高圧タンクを使用しなくてはならないところにありました.

高圧タンクの代用として研究者は様々な多孔性のスポンジ状の結晶性材料を研究しています.ある程度の圧力をかけてメタンを吸い込ませた後,圧力を下げてメタンを吐き出させるのです.

その一つが金属有機構造体(metal organic framework,MOF)です.金属が有機化合物のリンカーによって結合されているこの物質(中でもHKUST-1)は,1立方センチメートルで180立方センチメートル(つまり180倍)のメタンガスを吸収することができます.
が,これではアメリカエネルギー省の目標値263倍にはまだ程遠いのです.

ところがここに救世主が現れ,数字は一気に259倍にまで高まりました.目標値まで後一歩.

さて,その救世主とは...博士課程に在籍中の一人の学生でした.彼はエタノール溶液に懸濁させた粉末状のHKUST-1を遠心分離機にかけた後,オーブンに入れて乾燥させるつもりがうっかり1個だけ一晩ドラフトに放置してしまったのです.

ドラフト内でエタノールはゆっくりと蒸発し,翌朝彼が手にしたのは,非常に濃縮されたHKUST-1でした.これまでで最高のメタン吸蔵材料については,Nature Materialsに報告されました.

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