2017年10月19日木曜日

私たちの皮膚は「ミクロの動物園」?!

あなたの皮膚にはちっちゃな生物がうじゃうじゃいるのです,と言ったらびっくりするでしょうか?

「それはいわば「ミクロの動物園」のようなもの」と語るのはハイジ・コング,米国立衛生研究所(National Institutes of Health=NIH)の皮膚科学研究者です.

この「動物園」の顔ぶれは時間とともに変わります.健康な(あるいは軽い炎症を起こしている)皮膚には表皮ブドウ球菌Staphylococcus epidermidis)を始めとする様々なバクテリアが生息しているのですが,皮膚炎がひどくなるとバクテリアの多様性は乱され,黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が支配的になるのです.

ところで患者の皮膚の黄色ブドウ球菌を取り,健康なマウスの皮膚になすりつけてみると皮膚は厚くなり(皮膚炎でそうなるように),免疫応答細胞が殺到したのでした.皮膚炎の悪化にはある種のバクテリアの存在が関係しているのかもしれません.

彼らが用いているのは,ショットガンメタゲノミクスと呼ばれる手法.微生物叢の詳しい情報が一気に得られるこの方法は,今後炎症性皮膚疾患や皮膚ガンなどの理解を深め得る可能性を秘めています.そこにどんな微生物が存在し,何をしているのか.そしてその中におかしな奴(菌)がいて,「動物園」の主に悪さをしているのかどうかを知るために.

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